キセキの#14
更新日:2025年12月27日
〜小6から始めたエースへの道〜
「今から野球を始めて、間に合うだろうか?」
1年2か月前、小学5年生の冬。
息子・りくとが野球を始めたいと言い出したとき、正直なところ親としての不安がなかったわけではありません。
周りは低学年から白球を追ってきた猛者ばかり。
しかし、りくとの瞳に宿る熱量を見て、私は決意しました。
「よし、二人三脚でどこまで行けるかやってみよう」と。
そこから私たちの、文字通り「親子二人三脚」の特訓が始まりました。
平日の朝練習、仕事終わりの夜のキャッチボール。週末は試合と練習。
技術は一朝一夕には身につきません。
バットが空を切るたび、送球が逸れるたび、親子で何度も何度も基本に立ち返りました。
私がノックを打ち、りくとが泥だらけになって白球を追う。
気づけば、私の手にはマメができ、息子の背中はこの1年で驚くほど逞しくなっていました。
経験の差を埋めるために必要だったのは、圧倒的な練習量と、お互いへの信頼でした。
時には厳しく指導し、時には共に悩み。ただの「父と子」以上の、戦友のような絆が、グラウンドで少しずつ形になっていったのです。
「涙の卒団式」〜京都右京選抜、そして硬式の舞台へ〜
努力は裏切らない。
その言葉を、息子は自らのプレーで証明してくれました。
入団当初はベンチを温めることもありましたが、ひたむきな姿勢が認められ、ついにレギュラーの座を勝ち取りました。
さらに驚いたのは、チームの柱である「エース」への昇格。
そしてついには、野球の激戦区である「京都右京選抜」のメンバーにも選出されたのです。
1年前には想像もできなかった景色を、息子は見せてくれました。
迎えた先日の卒団式。ユニフォーム姿の息子を前にして、私の涙腺は崩壊しました。
1年2か月という、他の子より短い期間だったからこそ、一分一秒がどれほど濃密だったか。
苦しかった練習、試合での歓喜、二人で語り合ったプロ野球選手への夢。
そのすべてが走馬灯のように駆け巡りました。
しかし、これはゴールではなく、新しいスタートラインです。
来年からは中学校。
りくとは「硬式野球」の世界に飛び込むことを決めました。
より重いボール、より速いスピード、より高い壁が待ち受けているでしょう。
でも、この14ヶ月をやり抜いた君なら大丈夫。
お父さんはこれからも、君の最高のファンであり、一番近くの理解者で居続けます。
「りくと、卒団おめでとう。
最高の1年2か月をありがとう。
さあ、次は硬式のマウンドで暴れてこい!」