<油汚れ>レンジフードの汚れを放置したらどうなるの…?お手入れはいつ・どのように?
レンジフードには、調理の際に出た煙などを戸外に排出してくれる役割があります。
しかしこのレンジフード、油汚れなどが原因で吸い込む力が弱くなっている可能性があります。
レンジフードの排気する力が弱くなると、煙がいつまでも部屋の中に残り、衣服に嫌なニオイを残してしまったり、揮発した油が周辺のものに付着するなど、様々な弊害が起きます。
「炒め物をしたあとは、窓を開けないと煙が逃げていかない」
「レンジフードを回すと大きな音が出る」
「もう何年もレンジフードをお掃除していない」
このようなことに思い当たる方は、レンジフードの換気能力が弱くなっている可能性大です!
今回の記事では、「レンジフードをお掃除しないとどうなるのか?」についてご紹介したいと思います。
■レンジフードの種類と汚れる原因
レンジフードとは、キッチンコンロの上についている換気扇のことを指します。
大抵の建物では、コンロの上に覆いかぶさるようにフードがついており、このフードのなかに設置された換気扇が調理で出た煙を集め、戸外に排出しています。
レンジフードの換気扇には「シロッコファン型」と「プロペラ型」があります。
シロッコファンは円形の筒に羽が無数についた形状をしています。シロッコファンタイプのレンジフードは、ダクトを経由して煙を換気できるため、ダクトの長さを変えることで取り付けの位置をある程度自由にできるというメリットがあります。近年の建物に設置されたレンジフードはほぼすべてがシロッコファン型となっています。また、プロペラファンに比べて騒音が出にくいというメリットもあります。
が、その反面、羽の隙間など手の届かない部分も多いため、お掃除をするのが大変なタイプでもあります。そのほか、排煙する能力もプロペラファンに劣るといわれています。
プロペラ型は、扇風機についているような形状の羽がついたタイプです。ダクトを経由しての排煙ができないため、屋外に直接排気できるよう壁に穴を空ける形で設置されています。プロペラファンのほうが設置するのも安価で、シロッコファンに比べ排気能力も高いといわれています。しかしその反面、壁にしか設置ができないため、天候によっては風の影響を受けてしまいます。そのため、マンションの高階層など、常に強い風が吹いている場所には設置ができないといったデメリットもあります。
レンジフードには、主に料理で出た煙や湯気などを吸い込み、屋外へ排出するという役割があります。
炒め物や揚げ物から出る煙には、揮発した油分が含まれています。この油分は煙に乗ってレンジフードに吸い込まれ、内部で冷やされて凝固します。そのため、レンジフードの内部には、お料理のたびに油汚れがどんどん溜まっていきます。
■レンジフードが汚れるとこんな困ったことが
①レンジフードの排煙能力が落ちる
シロッコファン型のレンジフードに油汚れが溜まっていくと、ファンのハネの隙間がどんどん埋まっていきます。
シロッコファンのハネには、空気を掻きだすために溝がついているのですが、油汚れによってこの隙間が埋まると、煙を排出する力が極端に弱くなってしまいます。加えて、油汚れでハネが重たくなってしまうと、それだけ回転数も下がってしまいます。
また、ほとんどのレンジフードには、油汚れを濾過するレンジフードフィルターという部品がセットされているのですが、このレンジフードフィルターにも油が溜まります。溜まった油はフィルターの目を詰まらせてしまうので、それだけ透過する空気も少なくなってしまいますので、この場合にもレンジフードの換気能力が落ちてしまいます。
②不快害虫が増える原因になる
害虫の代表的存在であるゴキブリは、油汚れが大好きです。
ゴキブリは別名油虫(あぶらむし)と呼ばれるほどの油好き。食用油だけでなく、人間の皮脂や髪の毛なども大好物です。
また、ゴキブリは体の乾燥を防いだり、気門という呼吸器に水が浸入したりしないよう、体表に油をまとうという習性もあるのだとか。
食べるだけでなく、生きるために油を全力で利用する害虫なのです。
家庭のなかでゴキブリと遭遇する確率が最も高いのは、キッチンといわれています。害虫駆除専門業者さんによりますと、ゴキブリが頻繁に出る家とそうでもない家の違いは、「キッチンについている油汚れの度合い」だそうで、ゴキブリの出ない家のキッチンは、レンジフードを含め油っけがほとんどないのだとか。
また、ゴキブリは狭くて暗く、暖かい場所が大好きです。家電製品のなかに潜り込むという習性はよく知られていますが、レンジフードも照明やモーターで温かくなりますし、ゴキブリが身を隠す隙間もたくさんあるので、この例外ではありません。
③異音や故障の原因になることも
シロッコファンは、巻貝のような形のドラムという器の中に入っています。
このドラムの内部にも当然油汚れは溜まりますので、長く放置するとどんどんドラムのなかに油が蓄積していきます。この油汚れは、最終的には飴細工のように硬く粘り気の強い汚れに変化します。
ドラムのなかに堆積した油汚れは、年々その嵩を増していき、そのうち回転するシロッコファンに引っかかるようになります。このような状態で換気扇をつけると、汚れとファンがぶつかることで大きなノイズが出るようになります。
このような状態になってもなお使い続けると、回転するファンに無理な力が加わることになりますので、最終的にファンを支えている軸が曲がってしまいます。そうなると、ファンが安定して回転できなくなってしまいますので、さらに強いノイズが出たり、最悪の場合はレンジフードそのものが故障して再起不能になってしまうことも。
■レンジフードのパワーを維持する!日頃のお手入れ
①レンジフードフィルターは3か月に1度交換
最近ではホームセンターなどで、レンジフードに貼る不織布のフィルターが売られています。
自分で好きな形にカットできるこのフィルターは、油をしっかりと絡めとってくれる非常に優れた商品です。
レンジフードの換気能力を維持するためにも、この不織布フィルターはぜひとも活用したいところです。
しかし、このフィルターも汚れてくると油を吸着する力が失われます。
レンジフードの内部をキレイに保つためにも、3か月に1度は必ず交換するようにしましょう。
また、油料理の頻度や料理の回数、一度の調理にかかる時間などによっても汚れが溜まるスピードが変わります。
料理の回数が多い方などは、3ヶ月よりも早いペースで交換するようにしましょう。
②油跳ねガードを使う
ホームセンターには、コンロに被せてつかうアルミで出来た「油跳ねガード」というアイテムが売っています。
油跳ねガードを使えば、揚げ物や炒め物などで出た油が周囲に飛び散るのを防いでくれるので、レンジフードの内部に溜まる油汚れも相対的に減らすことができます。
油跳ねガードはコンロの奥と左右を囲うものがほとんどなのですが、天面には自分でアルミホイルを被せるなどすれば、上方向に飛び散る油も減らすことができます。
番外編:油料理を減らす
身もふたもないことを言ってしまいますが、いっそのこと、油料理そのものを減らしてみるのもひとつの手かもしれません。
そもそも揚げ物などの油料理は、肥満や高血圧など生活習慣病の原因となることが知られています。
特に肉の脂身に含まれる飽和脂肪酸は、血液をドロドロにしたり、中性脂肪や悪玉コレステロールなどを増やしてしまうといわれています。
働き盛りの30~40代男性で、さらにジムに通うなど運動習慣のある人でも、一日に必要な脂質の量は64~100g程度といわれています。一方、唐揚げ弁当の脂質は33gほど。毎日の食事に油ものが1品加われば、それだけ生活習慣病のリスクは高くなってしまいます。
油料理の回数を減らせば、レンジフードのお掃除の頻度も、生活習慣病へのリスクも下げることが可能です。
■お手入れは3ヶ月に1度!1年に1度は大掃除を
レンジフードのお掃除は、フィルターを交換するタイミング、つまり3か月に1度行うのが理想的です。
レンジフードの汚れを落とすのに有効な洗剤は、界面活性剤の入った中性洗剤や、重曹などのアルカリ性洗剤です。
界面活性剤は食器用洗剤などに含まれている成分で、水と油を混ぜ合わせる効果(乳化)、対象の表面張力を奪う効果(浸透作用)、汚れを水のなかに分散させる効果(分散作用)という3つの効果で油を対象から引きはがしてくれます。中性なのでお肌に優しいのも嬉しいですね。
重曹を溶かした重曹水で拭き掃除するのも効果的です。
また、1年に1度はレンジフードを分解して大掃除をしましょう。レンジフードは簡単な金具で留まっていることが多いので、正しい手順で取り外せば、ご家庭でお掃除することも十分可能です。
ただし、油で固まったレンジフードなどは、無理に分解すると軸が曲がってしまったり、故障してしまうことが多々あります。不安な方はプロのハウスクリーニングを依頼しましょう。たいていの場合、1基1万円前後でお掃除してくれる業者さんばかりです。