小規模店舗の衛生管理清掃について|衛生管理のポイントやコツを解説
小規模店舗とは一般的に、敷地面積が10〜15坪、座席数が20未満の店舗を指します。
また、従業員20名以下(商業やサービス業は5名以下)の企業は小規模事業者と呼ばれます。
小規模事業者は、全企業の約85%を占めており、ほとんどの企業が小規模事業者に分類されます。
小売業や飲食店などを経営する場合、お店の衛生管理は非常に重要な仕事となります。
しかし、小規模事業者の場合、人手不足などから、「清掃までしっかりと手が回らない」と衛生管理清掃の遵守に課題を抱えるオーナー様も多くいらっしゃいます。
小規模店舗の衛生管理清掃はどのように実施すべきなのでしょうか?
また、衛生管理清掃のスケジュールはどのように組んだらいいのでしょうか?
今回の記事では、小規模店舗を経営するオーナー様に向けて、衛生管理清掃のイロハについて解説させていただきます。
小規模店舗の衛生管理清掃について
衛生状態のよくないお店で食事をしたり、サービスを受けたりすることに、人は本能的に嫌悪感を覚えます。
そのため、小売業や、サービス業、特に飲食店を経営する上で、店舗の衛生管理は非常に重要になります。
この章では、小規模店舗における衛生管理清掃の重要性や、HACCP(ハサップ)の考え方に基づく衛生管理清掃のポイントなどについて解説していきます。
小規模店舗の衛生管理清掃の重要性
不衛生な店舗では、ホコリによるアレルギー発作、感染症や食中毒の蔓延、食品への異物の混入など、その産業やサービスを利用する顧客、およびそこで働く従業員の方にさまざまな健康上のリスクが発生します。
店舗の衛生状態が悪いと、お店の評判に致命的なキズが付くだけでなく、最悪の場合は行政指導が入り、営業停止に追い込まれてしまうこともあります。
事業を安定して続けるためには、店舗の衛生管理清掃を徹底し、常に清潔な状態を維持することが非常に大切になります。
HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理
HACCP(ハサップ)とは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略で、日本語では「危害要因分析重要管理点」と訳されます。
食品の安全を確保するための衛生管理手法のことで、食品の製造工程において、健康被害を引き起こす可能性のある危害要因を分析し、その危害を防ぐために特に重要な工程を特定し、管理することで、最終的に安全な食品を提供することを目的としています。
厚生労働省により、令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理に取り組むことが義務付けられました。
厚生労働省では、飲食店や食品製造業者向けに、HACCPに基づいた衛生管理の手引き書を作成し、ホームページなどで公開しています。
手引き書では、店舗や食品の衛生管理について、
①衛生管理のポイント(食材の仕入れや保管、調理場、トイレ等の清掃について)
②衛生管理計画の策定(調理器具や調理場等の設備の消毒・清掃、従業員の体調管理をどのようなペースで実施するかを決め、運用するためのスケジュール作り)
③計画に基づく衛生管理作業の実施(決めた計画に従って、日々の衛生管理を確実に行う)
④確認・記録の実施(チェックシートなどで店舗の衛生状態を管理・維持する)
⑤振り返りの実施(過去に衛生管理が正しく行われていたかをチェックシートなどの記録を元に振り返る)
などが詳しく解説されています。
小規模店舗の衛生管理のポイント
忙しい日々の業務の中で、衛生管理清掃を正しく確実に実施することは非常に大変です。
しかし、衛生管理がしっかりできていないと、お店の営業に支障をきたす致命的なトラブルが発生する恐れもあります。
この章では、小規模店舗の衛生管理のポイントについて詳しく解説していきます。
①従業員の衛生管理
【体調管理】
出勤前の従業員に対して、衛生検査をしっかりと実施しましょう。
また、食中毒の原因となる可能性のある疾患について定期的な健康診断を実施します。
発熱、下痢、嘔吐などの症状がある従業員には、作業を禁止し、医療機関への受診を勧めます。
手や指に傷口がある場合は、包帯や手袋で覆うなど、食品に触れないようにします。
【衛生教育の実施】
HACCPの原則、個人の衛生管理の方法など、従業員全員が共通の知識を持つように教育します。また、衛生に関する知識は定期的に復習し、常に最新の情報にアップデートすることが重要です。
実践的な衛生管理のスキルを身につけるために、ロールプレイングを取り入れることも効果的です。
【作業着の管理】
食品工場や厨房では、専用の作業着を着用し、私服との混同を防ぎます。
作業着は、汚れや菌の付着を防ぐため、こまめに洗濯します。
長い髪はネットなどで覆い、髪の毛が食品に混入しないようにします。
【手洗いの徹底】
適切な手洗い方法の指導を行いましょう。石鹸を使い、流水で30秒以上かけて丁寧に手を洗う方法を徹底します。
トイレの使用後、作業の前後、食品に触れる前など、こまめな手洗いを習慣化します。
また、手洗いできない場合に備え、手指消毒剤も設置しておきましょう。
【異物混入防止】
指輪、時計、ネックレスなどのアクセサリーは、食品に混入する恐れがあるため、着用を禁止します。
また、爪は短く切り、マニキュア等を塗らないように指導しましょう。
②食品の衛生管理
食材の品質、温度、賞味期限などを確認し、異物混入や変質がないかチェックします。
冷蔵庫や冷凍庫の温度管理を徹底し、食材の種類ごとに分けて保管します。
また、食材は古いものから先に使用し、食品の鮮度を保ちます。
各食品ごとにチェックリストを作り、開封した日時や食品の状態を記録して、全従業員で共有するように心がけましょう。
③店舗設備の衛生管理・清掃
【日常的なチェックリストの作成】
厨房や調理器具の洗浄消毒、テーブルなどの清掃・消毒、床の掃き掃除、トイレの清掃、ゴミ捨てなど、日常の衛生管理・清掃の作業をチェックリスト化し、完了した作業のところにチェックを入れるようにします。
また、毎日定時に実施するよう、全従業員に周知しておきましょう。
【定期的なチェックと清掃】
日中の定期チェックや、営業前後の清掃など、時間帯ごとの具体的なタスクを明確にすることで、見落としを防ぎます。
【重点箇所の識別】
お客様の目に触れやすい場所や、衛生上特に重要な箇所(調理台、トイレなど)を重点的に管理します。
【適切な用具と洗剤の使用】
それぞれのエリアで使用する器具を別のエリアに持ち出さないように気をつけます。
エリアごとに道具・器具を管理することで、交差汚染を防ぎましょう。
また、各エリアの清掃に適した洗剤・清掃道具を使用し、各場所の消毒を欠かさないようにしましょう。
小規模店舗の清掃と衛生管理はアウトソーシングも可能
衛生管理は、こまめに、かつ念入りに実施する必要があります。
そのため、衛生管理業務が通常業務を圧迫し、ただでさえ人手が足らないのに清掃まで意識が行き届かない、と嘆くオーナー様も多くいらっしゃいます。
衛生管理清掃を日々の業務の中でこなすのは大変、というお店は、いっそのこと衛生管理清掃を外注するのも一つの手といえます。
ハウスクリーニング社などでは、店舗用の衛生管理清掃サービスを提供しているところもあります。また、店舗向けのクリーニングは、近年大幅にコストダウンが行われ、小規模店舗でも利用できるほどリーズナブルな価格帯に落ち着いてきています。
「従業員をもう一人雇うほど余裕はないから、必要な時だけきてほしい」というオーナーさんは、清掃サービスなどを利用してみるのも良いでしょう。
ハウスクリーニングなどの清掃業者は日々、クリンリネス作業に従事していますので、お店を確実に、かつ早く、そして美しく清掃してくれること請け合いです。
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飲食店にとって清掃は、絶対に必要となる行為です。
美観が悪いお店、不衛生なお店で食事をしたいと思う人は、おそらくこの世の中にほとんど存在しないことでしょう。
お客様に快適な食事環境を提供するためにも、飲食店は最大限努力をして、お店をキレイな状態に維持しなくてはなりません。
しかしながら、人手や時間が足りなかったり、金銭的な余裕がなかったりといった理由から、満足のいく清掃活動が実施できている店舗はそれほど多くありません。
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